保険請求に関するQ&A
歯科診療特別対応加算について
障害者歯科診療における保険請求について説明いたします。障害のある患者さんが来院されたとき、対応方法に配慮しながら診療を行うことで歯科診療特別対応加算や処置、手術、麻酔又は歯冠修復及び欠損補綴の加算が算定できます。
著しく歯科診療が困難な者に対して処置を行った場合です。
「著しく歯科診療が困難な者」とは、
- 脳性麻痺等で身体の不随意運動や緊張が強く体幹の安定が得られない状態
- 知的発達障害等により開口保持が出来ない状態や治療の目的が理解できず治療に協力が得られない状態
- 重症の喘息患者等で頻繁に治療の中断が必要な状態
- 日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ歯科診療に際して家族等の援助を必要とする状態
です。このような1〜 4に該当又はこれらに準ずる状態の患者に対して診療を行った場合に基本診療料の加算として算定します。
上記の著しく歯科診療が困難な者に対して診療を行った場合に、初診時又は再診時に基本診療料の加算として175点を算定します。初再診ごとに加算算定が可能です。又、初診時に当該患者に対して歯科治療環境に円滑に適応できるような技法*)を用いた場合は、「初診時歯科診療導入加算」として250点を加算して算定できますが、初診時歯科診療導入加算を算定した場合は、歯科診療特別対応加算の算定はできません。歯科診療特別対応加算又は初診時歯科診療導入加算を算定した場合は、当該加算を算定した日の患者の状態や用いた専門的技法*)を診療録に記載する必要があります。
*)
歯科診療の開始にあたり、患者が歯科治療の環境に円滑に適応できるための方法として、Tell-Show-Do法などの系統的脱感作法並びにそれに準拠した方法、オペラント法、遊戯技法、ボイスコントロール法等の患者の行動を調整する専門的技法をいいます。
[事例]歯科診療特別対応加算例
[事例]初診時歯科診療導入加算及び歯科診療特別対応加算例
著しく歯科診療が困難な患者に対して処置、手術又は麻酔を行った場合に、歯科診療特別対応加算もしくは初診時歯科診療導入加算を算定した患者で、開口の保持又は体位、姿勢の保持が必要な患者や頻繁な治療の中断を伴う患者等に対して、患者の状態に留意しながら治療を行った場合等において処置又は手術料の100分の50又は100分の30が加算できます。また、歯冠修復及び欠損補綴においては100分の70又は100分の50が加算できます。
全身麻酔下での処置等には加算算定できません。また、当該加算を算定した日の患者の治療時の状況を診療録に記載する必要があります。
加算割合を下記に示します。
処置 |
(口腔内装置1、2、3、睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置、舌接触補助床及び術後即時顎補綴装置を除く) |
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手術 |
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歯冠修復 及び 欠損補綴 |
(補診、補管、特イ診、金属歯冠修復、チタン冠、接着冠、根面被覆(根面板によるもの)、レジン前装金属冠、レジン前装チタン冠、非金属歯冠修復、CAD/CAM 冠、CAD/CAM |
[事例]処置及び手術の100分の50加算例
[事例]処置及び手術の100分の30及び100分の50加算例
[事例]歯冠修復及び欠損補綴の100分の50加算例
診療情報提供料(Ⅰ)と歯科診療特別対応連携加算について
診療が困難な患者さんは、東京都立心身障害者口腔保健センターへ診療情報提供書を書いて紹介してください。
その際、診療情報提供料(Ⅰ)250点が算定できます。
さらに当センターは歯科診療特別対応連携加算に係わる施設基準に適合した保険医療機関です。
診療所で歯科診療特別対応加算(特)+175点又は初診時歯科診療導入加算(特導) +250点を算定している患者さんを当センターへ診療情報提供書を書いて紹介していただければ、診療情報提供料(Ⅰ)250点に100点(情Ⅰ加2)が加算できます。
なお、レセプトの摘要欄に「情Ⅰ加2」の記載が必要です。
歯科診療特別対応地域支援加算について
東京都立心身障害者口腔保健センターは歯科診療特別対応連携加算に係わる施設基準に適合した保険医療機関です。
患者さんが近医での歯科受診を希望されたとき、当センターから歯科診療所へ紹介いたします。
紹介された歯科診療所では、初診時に歯科診療特別対応加算(特)175点を算定し、
歯科診療特別対応地域支援加算として100点を加算します。
なお、レセプトの摘要欄には紹介元保険医療機関名の記載が必要です。